『折れた竜骨』 米澤穂信 > 「このミス」完全読破 No.402
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.402
『折れた竜骨』 米澤穂信 ( 2012年版 2位 )
読始:10.11.26 ~ 読終:10.11.29
![]() | 折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア) 米澤 穂信 東京創元社 2010-11-27 売り上げランキング : 458 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
米澤穂信といえば、“小市民シリーズ”や“古典部シリーズ”など青春ミステリの印象が強いと思いますし、そうでない作品でも日本を舞台とした若者がメインの話がほとんどです。
しかし本作は、なんと外国を舞台としているのですから驚きました。
しかも、時代は12世紀末で、さらには剣と魔法のファンタジー的世界観というのですから、これまでの米澤作品とのギャップが激しいだけに、かなりの驚きと共に楽しみの方も膨れ上がりましたね。
あと、本作についての前情報をもう一つ。
これは“「このミス」2010年版”の“私の隠し玉&私のデビュー直前/直後”という作家自身が書き下ろすコーナーにも書かれていることなのですが、デビューする以前の素人時代に自身でホームページを立ち上げ、そこであるミステリ作品を毎週更新していたのだそうです。
しかし解決編を更新した直後、角川学園小説大賞に応募していた「氷菓」が受賞したという連絡が入っため、即座にホームページを閉鎖することに。
そしてその「氷菓」で作家デビューし今に至るわけですが、そんなデビュー前にネット上で公開していた“幻の作品”を原型として完成させたのが、本作なのですね(詳しいことは“あとがき”にも書いてあります)。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
物語は、ロンドンから北東の位置に浮かぶソロン諸島という2つの島を舞台に繰り広げられます。
この島の領主が招き入れた騎士・弓手・魔術師などの傭兵たち、恐るべき魔術の使い手・暗殺騎士、呪われたデーン人などなど、いかにもファンタジー作品といったキャラクターたちが、次々とこの小さな島へとやってきます。
そんなファンタジー的な外観で話は進んでいくのですが、話の始めの方で殺人事件が起きると、ある人物が探偵役となり本格ミステリ的展開となるのですね。
この捜査・推理においては“魔術”という非現実的なファクターが関わってくるわけで、これはいわば“なんでもあり”であるものの、それが上手いこと推理を支える要素の一つとなっていて、本格ミステリとして見事に成立していたのはさすがでした。
それに、米澤作品はミステリ的に少し捻りが加えられた作品が多いと思うのですが、本作は外観こそこれまでの作品の中で本格ミステリから一番離れているように見えるとはいえ、中身の方は驚くほどにド直球な本格ミステリとなっているのですね。
中世ヨーロッパが舞台、ということで、現代日本が舞台の作品しか読んでいない人だと少し抵抗があるかもしれませんが、やはり米澤作品らしく軟らかな読み応えですし、キャラも皆立っているので横文字の名前も読んでいくうちに慣れてきて、次第に誰が誰だかわからなくなるのも解消していくだろうから、あまり気にすることはないかもしれません。
そんな読みやすさに加えて、ファンタジー的な見せ場も迫力満点で、それでいて全編を通してド直球な本格ミステリなのですから、これはホントに見事な“エンタメ本格ミステリ”でしたし、まさに“新境地開拓大成功”といったところでしょうか。
ぜひともこの系統の作品を今後も発表してもらいたいものです(続編だとなおのこと嬉しいです)。
なお、東京創元社で「『折れた竜骨』特設ページ」が公開中で、“Webミステリーズ!”では「『折れた竜骨』刊行記念 米澤穂信インタビュー」が掲載されています。
.
.
.
> 個人的評価 : ★★★★★ ★★★☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
【 “米澤穂信” 関連記事 】
> No.366 「ふたりの距離の概算」
> No.365 「遠まわりする雛」
> No.315 「蝦蟇倉市事件 2」
> No.250 「秋期限定栗きんとん事件」
> No.227 「追想五断章」
> No.140 「儚い羊たちの祝宴」
> No.76 「インシテミル」
> No.44 「ボトルネック」
> No.40 「夏期限定トロピカルパフェ事件」
> No.39 「春期限定いちごタルト事件」
「エトロフ発緊急電」佐々木譲 <<< PREV/NEXT >>> 「電氣人閒の虞」詠坂雄二
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
>>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<
« 「このミス2010年版」ランクイン作品数珠つなぎオススメ本ガイド(6-10位) | トップページ | 『新世界崩壊』 倉阪鬼一郎 > 「このミス」完全読破 No.394 »
「01.「このミス」完全読破」カテゴリの記事
- 「このミス2013年版」月別ランクイン候補作品(2012年4月)(2012.04.04)
- 「このミス2013年版」月別ランクイン候補作品(2012年5月)(2012.05.02)
- 『太陽は動かない』 吉田修一 > 「このミス」完全読破 No.539(2012.05.25)
- 『誰がための刃 レゾンデートル』 知念実希人 > 「このミス」完全読破 No.538(2012.05.21)
- 『元職員』 吉田修一 > 「このミス」完全読破 No.195(2009.07.12)
« 「このミス2010年版」ランクイン作品数珠つなぎオススメ本ガイド(6-10位) | トップページ | 『新世界崩壊』 倉阪鬼一郎 > 「このミス」完全読破 No.394 »








コメント