『球体の蛇』 道尾秀介 > 「このミス」完全読破 No.294
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.294
『球体の蛇』 道尾秀介 ( 2011年版 130位 )
読始:10.2.15 ~ 読終:10.2.17
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道尾秀介といえば、改めて言うまでもなく新進気鋭のミステリ作家なわけですが、本作は作者自身が“ミステリーではない”と語っている作品なのです。
それで実際に読んでみると、道尾作品の代名詞とでも言うべき“一瞬にして世界がガラリと変わってしまうどんでん返し”が今回はありませんでした。
そのためにいつもの道尾作品とは違った感じで、どこか純文学的な趣きがあったりもするのですが、だからといって全くミステリーではないのかと言えば、そんなことはないと思うのですよね。
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物語は、複雑な家庭環境で暮らしている男子高校生の日常から始まるのですが、身内とのやり取りなどコミカルであるにもかかわらず、悲劇的な雰囲気をそれとなく匂わしているので、このような物語の真相がはっきりとせずにドキドキしながら読み進めていく感じは、過去の作品と似た味わいがありました。
ただ、そういった“真相を謎のベールで包み隠す”ことによって、読者に誤認を与えてクライマックスにどんでん返しを炸裂させる、というのが目的ではないところが、これまでの作品との違いでしょう。
それでは本作の場合はどうなのかといいますと、これはあくまで自分が感じたことなのですが、“物語に漂う謎”の真相を少しずつ明らかにしつつ、またそこから新たな謎を少しずつ漂わせていくことで、物語のドラマ性の部分をより深く濃厚なものにしていたし、読む人の心を物語世界へと誘い込む役割を果たしていたのではないでしょうかね。
なので、“誤認を誘った上でのどんでん返し”などのわかりやすいミステリトリックはないものの、ミステリ的な仕掛けによって物語に味わい深い魂を吹き込んでいるので、タイプは違うけれどこれまでの作品に肩を並べるくらいの素晴らしいミステリ作品だと思いました。
それに、それまでの作品は、読者に誤認を誘導する仕掛けがあったことから、作者からのベクトルが直接読者に向いているようにも感じていたのですが、本作の場合はそのベクトルが物語の中に向かっているように感じて、これまでのようにクライマックスに重きを置くのではなく物語全体を通して堪能できたので、この作風の方が“小説”的には適しているのではないでしょうか。
最近はちょっと騙しのトリックにも慣れてしまって、高いレベルのトリックであっても平均的な驚きとなってしまいそうなので、(本作のような)“騙し”以外の作品を基本として、何作かに1作の割合でどんでん返しを炸裂させてくれた方が、その衝撃さも有り難味もより高まると思いますしね。
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> 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★★
下ネタエッチ度 : ★★★★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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